あなたが作るおいしいごはん【完】

ねえ……誰か…言ってよ。

和亮さん…これは何かの間違いだって

……そう私にハッキリ言ってよ…。


その時

『…萌絵、どうしたんだ!?』

私の名前を呼ぶ大好きな声と

バタバタと駆け寄る音が

完全に座り込んで泣いている

私の元で止まった。


『…“事務所の前で萌絵が泣いてる。”と
菊田から連絡があったから
急いで戻って来たよ。

…萌絵、どうしてここに!?
レナさんの店から
直帰したんじゃなかったのか!?

…それより…何で泣いてるんだ!?』


…声の主は勿論…彼だった。


今日は家から着て来ていた

カットソーの上に

グレー系のスタイリッシュな

ダブルボタンのコックシャツを着て

黒のジーンズ姿と言う

見惚れてしまうほど良く似合っていて

カッコいい彼は

私の目線までしゃがみ込んで

立て膝をつくと

私の顔を隠していた両手を

そっと外して私を覗き込んだ。

優しい瞳に見つめられて

いつもなら胸が高鳴るけど

今は何だか切なく、苦しい…。

『…泣いてちゃわからない。
萌絵…一体どうしたんだ?
何があったんだ?』

彼は首を傾げながら

私の涙を優しく拭ってくれた。





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