あなたが作るおいしいごはん【完】

「…和亮…さん?」

涙を流す彼の頬に手を伸ばすと

彼の手に捉えられてギュッと握られた。


…ドクン…ドクンと胸が高鳴る私は

『……萌絵。』

と、涙を流しながらも

優しく名前を呼ぶ声と共に

彼に引き寄せられると

そっと抱き締められた。


再び彼のコックシャツに

顔を埋めるような体勢になった私に

『……馬鹿な事言うな!!
見捨てるワケないだろ…?
忘れたのか?……俺は萌絵の事が
“ずっと前から好きだった。”って…。』

…あっ。

彼が今まで私に言ってくれた言葉が

溢れるように出てくるのを感じた。


『…“そばにいる。”って約束しただろ?

“愛してる。”って何度も言っただろ?

“美味いメシをこれからも作ってやる。”
って約束しただろ?

“一人で泣いたり、目を瞑ったり
怯るな。”って約束しただろ?

“俺がついてるから
一緒に乗り越えていこう。”
って約束しただろ……?』

そう言って私の頭を撫でた彼は

『…俺も萌絵を愛してる。
今までもこれからもずっと
愛してるから…ありがとう。
俺との子どもを妊娠してくれて…。

…明日、俺と一緒に病院行こう?
一緒に確かめに行こうな?』

と、耳元で甘く優しく囁いてくれた。
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