あなたが作るおいしいごはん【完】
その足音は
ミレイさんの前で立ち止まると
よほど慌てて来たのか
急いで来たのか
両膝に両手をつきながら
『…はぁっ…はぁっ。』
と、肩を上下させるように
大きく息を吐いた後
呼吸を整えながら
『…ミレイ…ごめん…待たせたね。
すべて話は聞いたよ。
…不安にさせて…悪かった。』
と、ミレイさんの名前を呼び
ミレイさんに謝罪を呟きながら
ゆっくりと顔をあげた。
「……お父さん。」
私が思わず呟いた声に
反応したその人物は
ゆっくりこちらを振り返り
『……萌絵!?
どうして、お前までここに!?』
と、目を見開くと
驚いた顔をして私を見た。
ミレイさんの前で立ち止まった人物は
……浅倉靖雄…私の父だった。
『…おいで。』
彼は私の肩を優しく引き寄せると
ゆっくり私を2人の元へと歩かせた。
そして
『…靖雄さん…すいませんでした。
実は俺もさっきのあの電話の後で
順番が逆になってしまうと言う事が
わかりました。
…萌絵さん…ミレイさん同様
妊娠しています。』
と、ただでさえ驚いていた父を
さらに驚かせる結果に繋がる事を
彼はさらりと行ってのけた。