あなたが作るおいしいごはん【完】
『…そうだ。婚姻届だけど
来週月曜日に提出したいと思ってる。
この日は特別な日だからね。』
…特別な日。
何だか胸が熱くなった。
そうこの日は私の20歳の誕生日。
『…親父にもさっき電話した。
萌絵の妊娠に喜んでくれて
入籍も賛成してくれた。
靖雄さんも萌絵の短大に明日にでも
事情を話しておいてくれるらしいから
結婚式は卒業後にするのは変更ないけど
入籍は萌絵の誕生日の月曜日にするよ。
それでいいかな…?』
「……勿論です。
こんな嬉しい事はないです。」
彼からの提案に頷いて答えると
『…ありがとう。』
と、触れるだけのキスをくれた。
やがて唇が離れると
『…市役所へ行く前に
萌絵をある場所へ連れて行きたいんだ。その場所で俺は
萌絵にプロポーズしたいから
楽しみに待ってて欲しいんだ…。』
そう言って私をジッと見た。
「…どこ?気になるなぁ…。」
私は思いつかなくて
首を傾げながら考えたけど
『…当日のお楽しみだよ。
……そろそろ寝ようか?
明日からは悪阻でも
食べやすいメニューも考えていくよ。』
彼は私の表情に柔らかく微笑みながら
私の額に優しいキスを落とした。