あなたが作るおいしいごはん【完】

今回預かる事になったのは

その靖雄さんの娘である

【浅倉萌絵】だった。


毎日多忙な靖雄さんは

平日は近所に住む祖父母や

時々通ってくる家政婦さんや

ご近所さんに子ども2人を

頼んでいるらしいが

土日はなるべく休みにして

慣れない家事をしながら

子ども2人との時間を大切にしていると

親父から聞いた事があった。


しかし、急な仕事や

当時彼女の弟の靖英が通う

保育園の行事等が重なって

その上預け先がない時は

彼女や靖英を我が家で

代わりに預かる事が多かった。


親父も恩人である靖雄さんの子どもを

預かるのを大歓迎していたが

親父も土日のどちらかは

仕事へ行く事が多かった為に

実質的には

俺がほとんど面倒を見ていた。


今日は保育園の親子バス遠足へと

出発する為に我が家へ預けに来た

自分の父親と弟を

当時小学1年生にしては

ちゃんとした口調で

我儘を言ったりせずに


「…うん、いいこにしてる。
お父さんと靖英いってらっしゃい。」


と、見送りの言葉をかけて

送り出す彼女に俺は正直感心していた。















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