あなたが作るおいしいごはん【完】

俺は男だし

姉も妹もいなかったから

女の子が何を思い

何を考えてるかとか

繊細な心情はやっぱり良くわからない。


同じように母親がいない家で

中学生の他人の男の子と留守番なんて

本当はこの子なりに

複雑に感じて、ストレスを感じて

気が休まらないんじゃないかと思う。


俺もそんなに気が利く事が出来る

器用な人間ではないが

出来る範囲で彼女のストレスを

軽減出来るにはと考えると


……俺に出来る事は料理だった。


彼女は昼食と15時のおやつになると

いつも笑顔で食べてくれる。

ご飯粒一つ残さずに

綺麗に食べてくれる。

手を合わせて

『いただきます。』

『ごちそうさま。』

も言えるし

『おいしかったです。』

とも言ってくれる。


俺にはこのやり方でしか

食べさせてあげる事しか

思いつかないけど

俺も預かる以上は

食べてる時だけでも笑顔で

気分良く帰って貰えるように

また食べたいと思って貰えるように

もてなせればいいかなと思っていた。







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