あなたが作るおいしいごはん【完】

***

朝から靖雄さんの娘の萌絵ちゃんを

預かって数時間が経過した。

学校の宿題をしている

彼女の向かい側で

俺も塾から出された宿題をしていた。


黙々と集中している彼女のおかげで

何だか俺まで静かではかどったけど

朝食以降飲み食いしてなかったから

何かお腹が空いてきたな。

そろそろかな…。

そう思った時


…ピーッ、ピーッ、ピーッ。


炊飯器のタイマーが切れて

キッチンいい香りが漂い始めた。


ヨシヨシ…後は少し蒸らそう…。


すると


………グーッ。


突然、彼女のお腹の音が鳴った。

ポカンとした俺に

「…あっ、ごっ、ごめんなさい!!」

彼女が顔を紅くしながら俺に謝った。


彼女もお腹空いたのか…?

俺はクスクス笑うと

『…いいよ、いいよ、謝らなくても。
俺もちょうどお腹空いてきたから
今用意してくるよ。
…だからもう少しだけ待っててくれる?』

そう言ってテキストを仕舞うと

手に持って立ち上がった。

恥ずかしがっていた彼女も

「……うん!!」

と、俺の顔を見てニッコリ笑った。
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