あなたが作るおいしいごはん【完】
まさか小学生に教えられるなんて…。
恥ずかしいのを承知で
俺は彼女に聞いてしまった。
『…萌絵ちゃん。
俺…料理の先生になれると思う?』
…あっ、何て事を聞いてるんだ。
聞いた後で後悔しても遅い。
この子にこんな事を聞いても
仕方ないことなのに……。
しかし、彼女は
「…うん。
カズ兄ちゃんなら絶対になれる。
萌絵はカズ兄ちゃんのご飯で
さっき嬉しい気持ちになったから
もっとたくさんの人を
カズ兄ちゃんのおいしいご飯で
嬉しい気持ちにしてあげて!!」
と言って、俺からの問いに
今までで一番眩しいくらいの
可愛くて輝くような笑顔で
ニッコリと俺に笑ってくれた瞬間
…あっ。
何だか目の前が明るくなり
パッと俺の心に優しくて
温かな光が舞い込んだ…。
不思議なくらい迷いが晴れていく。
やがて俺は
何かが吹っ切れたように
『…ありがとう…萌絵ちゃん。
俺…よく考えて頑張ってみるよ…。』
と、彼女に笑顔を返した。