あなたが作るおいしいごはん【完】
『…僕は萌絵と和亮君が
いつか一緒になって欲しいと
思っているんだ。』
と泣きながら親父や俺に溢していた時
俺はつい我慢出来ずに言ってしまった。
『…俺も実は萌絵ちゃんが好きです。
でも、俺は今のところ萌絵ちゃんに
全く相手にされていません。
でもいつか萌絵ちゃんに
自分の気持ちを伝える事が
許される日が来るのなら
萌絵ちゃんが成人を過ぎた頃に
今まで想ってきた自分の気持ちを伝えて
今までの感謝を伝えたいです。』
この一言が靖雄さんの心に響き
父親同士の心を動かし
昔、親父の会社が
経営危機に陥った際の資金援助を
靖雄さんが申し出た際に
親父達の間で
勝手に取り交わされていたらしい
『和亮と萌絵が年頃になった時に
2人を強制的にでもくっつけて
親族になろう。』
と言う、何を勝手に決めてるんだと
言いたくなるほど
子どもの意志を無視した取り決めを
父親同士が実行に移す事になり
最終的に父親同士の策略による
政略結婚の始まりになるのだと
聞かされるのは
かなり後になってからだけど
俺は萌絵を振り向かせる事が出来た。
今となっては良かったと思ってる。