あなたが作るおいしいごはん【完】


萌絵と結婚出来ると知った時

やり方は良くないと思いながらも

嬉しくて堪らなかった。


でも、お見合いや結納の席で

萌絵本人から


『…カズ兄ちゃんは私の事なんて
好きじゃないくせに!!』

『…私と結婚なんて後悔しないの?』


などと言われてしまった時は

いつの間にか勝手に父親同士で

決められてしまっていた政略結婚に

納得出来ない彼女の気持ちは

良くわかっていたつもりだけど

俺の事なんて彼女の中では

カズ兄ちゃんと言う

面倒を見てくれたお兄ちゃん止まりで

全く恋愛感情の対象に

入っていなかったんだと思うと

街で見かけた例の浮気症男だと言う

彼女の元カレ以下だったのかと思うと

心にグサリと何かが突き刺さるような

痛みを感じたのは言うまでもなかった。


俺は好きだったんだよ…。


じゃなければ

俺はキミの為に婚約指輪を特注しない。

大好きな女性に指輪を買うなんて

生まれて初めての事で

実は緊張していたなんて

いつか彼女に話したら

笑われてしまうかなと思うけど

それだけキミを

本気で想い続けているのだと

指輪を通して彼女の心に

染み渡ればいいと思ってる。







< 277 / 290 >

この作品をシェア

pagetop