あなたが作るおいしいごはん【完】
飯田さんの運転でAホテルに着いた私は
フロントでコートを預けると
顔見知りのフロント係に案内されて
1階のはなれにある
窓から日本庭園が一望出来る
特別和室に向かっていた。
ここに父と
私がお世話になった?と言う
まだ誰なのかわからない人が
待っているらしい。
誰なのかをフロント係に聞いてみても
さっきまで
別のお客様を案内していたから
誰かはわからないと言われた。
やがて、部屋の前に辿り着き
『…失礼します。
萌絵お嬢様がご到着されました。』
フロント係が襖を開けた。
『…ああ、ありがとう。
萌絵…急がせてすまなかった。
早く中に入りなさい。』
父が私を呼ぶ声が聞こえ
誰なのかは私の視界に
まだ入ってこないけど
とりあえず私は
ブーツを脱ぐと中に一歩入った。