あなたが作るおいしいごはん【完】
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「…はっ!?結婚!?
カズ兄ちゃんと私が!?」
『…そうだ。
秀和君との間で
何度も話し合いを重ねて
和亮君と萌絵を結婚させる事で
話が纏まった。
…よって、萌絵は高校卒業後
すぐに和亮君と結納を交わして
婚約して貰う。』
突然呼び出されただけでなく
父親から告げられた
耳を疑うような言葉の数々に
「…ちょっ、お父さん!!
冗談やめてよ!!
新年早々こんなところに呼び出して
何をワケわかんない事言ってんの!?」
ハッキリ言って理解に苦しむ私は
家族ぐるみで昔から交流がある
押谷親子の前でとは言え
動揺のあまり
父につい声を荒げてしまった。
しかし
『…別に冗談ではないし
何も僕は別に訳のわからない事も
言ってなんかない。
これは真剣な話だ。』
父はさっきの気まずそうな顔から一変
開き直ったのか
私の動揺にも動じなくなり
『…和亮君と萌絵の将来の為だ。
こんなに良い話はない。』
そう言ってお茶を啜った。