あなたが作るおいしいごはん【完】

***

『…ほら、萌絵聞いたか?
和亮君だって萌絵との結婚話を
既に承諾してくれているから
何も問題なんてない。』

『…そうだよ、萌絵ちゃん。
私もこの結婚話は賛成だよ。
18歳はもうれっきとした大人だと
思っているし
うちの和亮には勿体無いぐらい
萌絵ちゃんは素晴らしいお嬢さんだから
こちらの方が本当に
申し訳ないぐらいだよ。』

父の話に同調するように

秀和社長が口を開いた。


「……そ、そんな…私は。」

それでも否定しようとした私に

『…4月から和亮は
テレビの料理番組の出演も控えている。
周囲の目も変わってくるから
和亮が方向性を見失わないように
萌絵ちゃんが監視して、導いて
支えてやって欲しいんだ。
…だから、嫌だと言わずに
宜しく頼むよ。』

秀和社長がそう言って

頭を下げて頼んだ時


…父親同士の策略による

政略結婚の四文字が頭に浮かび

私の逃げ場がないと思い始めた。

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