あなたが作るおいしいごはん【完】
***
『…じゃあ後は2人で
具体的な今後について
ゆっくり話し合ってくれたらいい。』
「…ちょっ!!…お父さん!?」
私の言葉はスルーされ
父はカズ兄ちゃんに視線を向けると
『…和亮君、醜態を晒して悪かったね。
でも、君がこの話を受けてくれて
僕はこんなに嬉しい事はないよ。
押谷家と浅倉家の明るい未来の為にも
萌絵の事を宜しく頼むよ…。』
そう言って頭を下げると
カズ兄ちゃんまでも
『…はい、約束します。
こちらこそ…。
今後とも宜しくお願い致します。』
と、秀和社長と一緒に頭を下げていた。
やがて
『…萌絵、これから秀和君と一緒に
取引先との新年会に行くから
夕飯はいらない。
靖英もいらないそうだから
和亮君とどこかで食べてから
帰ってくるといい。
…泊まるなら、必ず連絡しろ。』
「…えっ!?
だから、お父さんってば!!」
『…和亮。
あまり遅過ぎない程度に
萌絵ちゃんをきちんと
自宅まで送り届けるんだぞ。』
そう言って父と秀和社長は立ち上がり
私の声をやはりスルーしたまま
背を向けて部屋の襖を開けると
和室を出て行ってしまった。