あなたが作るおいしいごはん【完】
私は黙ったまま顔をあげると
カズ兄ちゃんが私に優しく頬笑みながら
『…今朝、こんなのを作って来たよ。
今日ここに着いたら萌絵ちゃんと
一緒に食べようと思ってね。』
そう言って彼は
自身の後ろにあった紙袋から
ガサガサッと何やら取り出した。
『…はい。』
目の前に差し出されたのは
私の大好きな某キャラクターの
ラッピング袋だった。
「…ありがとう…カズ兄ちゃん。
私がこのキャラクター好きなの
覚えててくれたんだね。」
ようやく口を開いた私に
『…やっと口を開いてくれたね。』
彼がホッとしたような顔をした。
差し出された袋の外から
中身は上手く見えない。
『…萌絵ちゃんが保育園の頃
このキャラクター好きだって
良く言ってたの…覚えてるよ。
朝、近所のスーパーで
これ見つけて買った時
かなり恥ずかしかったけどね。』
苦笑いを浮かべた彼は
『…中身あけてごらん。』
そう言って私に開封を促した。