あなたが作るおいしいごはん【完】
リボンを解くと
「…あっ。」
中に入っていたのは
私の大好きなお菓子の
《どら焼き》だった。
『…昔、萌絵ちゃんや靖英が
俺の家に遊びに来た時に
ホットプレートで生地焼いて
作った事あったの覚えてる?』
カズ兄ちゃんが自分の分を出しながら
私に問いかけた。
「…うん。覚えてる。
《どら焼き》って
お家でも作れるんだって
ビックリしたの…覚えてる。」
私の返答に彼は頷きながら
『…今でも萌絵ちゃんが好きだって
靖雄さんや靖英から聞いてたよ。
明日ね、本当なら料理教室休みだけど
ビル内の会議室に生徒さん達呼んで
新年の挨拶がてら
《おしるこ》を振舞うから
小豆を昨日から炊いてたんだ。
だからこれは出来たての粒あん。
萌絵ちゃんに《どら焼き》
作ってあげようって思いついた。』
そう言って彼は
『…お茶ぬるくなってるから
新しいのに入れ替えてあげよう。』
と、私の湯呑みの茶托をそっと下げた。