あなたが作るおいしいごはん【完】

***

このお見合いと婚約話は

以前、秀和社長の会社が

一時期経営危機に陥って

父が資金援助を申し出た際に

取り交わされていた

約束の一つだったと

私は今、彼の話によって知らされた。


「……ごめんなさい。
父が秀和社長に厄介で迷惑な約束を
させてしまったみたいで…。」


彼にお菓子を頂いて

甘い物を摂取して

さっきよりは心身が

若干ほぐれかけていた私は

冷静に話を聞ける状態になったものの

そんな約束がいつの間にか

知らないうちに

父親同士で取り交わされていた事に

唖然とするしかなかった。


『…いいんだ。別にそれは
靖雄さんだけの希望じゃなくて
親父も希望していた事らしいし
無条件で資金援助を受ける訳には
いかないと親父も思っていたらしいから
そう言う話になったんだと思う。』

彼は締めていたネクタイを

若干緩めながら再び私に視線を戻した。






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