あなたが作るおいしいごはん【完】
彼は私の驚いた顔を見て
クスッと笑った。
『…ああ、そうだよ。
親父からも聞いていたし
俺も一度だけ
靖雄さんが実家に酒飲みに来てて
偶然居合わせた時に聞いたよ。
靖雄さんが話の途中で泣いてしまうほど
当時の萌絵ちゃんが不憫だったみたいで
本当に心配していたよ。』
「……ごめんなさい。」
そう…私は2ヶ月ほど前に
1年付き合っていた
大学生の年上彼氏と別れた。
浮気の噂や目撃情報を聞く度に
私は泣かされ続けた。
父親をはじめ、友人から
元カレと別れる事を勧められても
『もうしないから…好きだ。』と
元カレに土下座されてしまうと
好きになった弱みでつい許してしまい
ズルズルと続いてしまった。
父親と何度も喧嘩になって
靖英からも忠告されていた。
やがて興信所に依頼した父親は
元カレが私の父親のお金目当てで
私に近づいていた事を知り
激昂して弁護士を引き連れて
元カレの実家へ怒鳴り込んだ。
この一件で
元カレとその家族から謝罪され
ようやく目が覚めた私は
お付き合いにピリオドをうった。