あなたが作るおいしいごはん【完】

『…お茶の前にも言ってたけど
この婚約と結婚の話は
父親同士の事情は勿論だけど
萌絵ちゃんのそんな事情も
既に引っ括められての話だから
萌絵ちゃんと俺がどれだけ
ムキになって撤回を求めても
覆る事はないし
スルーされてしまうだけなんだよ。』

「……。」

『…多分、俺達がもし
今それぞれ違う人と
付き合っていたとしても
萌絵ちゃんが20歳になった時点で
あの2人ならあの手この手で
それぞれを強引に別れさせて
結局はこうして強引ににでも
くっつけるだろうね。』

…そうなの?

じゃあ、もし元カレが

あんな事をする人じゃなくて

私の事を本当に心から愛してくれて

今も順調にお付き合いが

続いていたとしても

結局は別れさせられていたって事に

なっていたかもしれないんだ…。


『…靖英に関しては
靖雄さんがどうするかはわからない。
でも、今回の事は
萌絵ちゃんも俺も受け止めるしかないし
俺もとやかく言わない。』

「…でも、カズ兄ちゃん。」

だからって

そんな簡単に決めていいの?

そう思う私に

『…俺は靖雄さんに恩がある。』

彼が力強く言い放った。
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