あなたが作るおいしいごはん【完】
「…嘘でしょ?」
もうそこまで決まっている事に
頭がついていけてない。
「…でも…家の事…。
お父さんと靖英の男2人だけに
なっちゃうのに…。」
私が小さい頃は祖母が
時々身の回りのお世話に
訪ねて来てくれたり
押谷家同様、家政婦さんが
通って来てくれたりしていたけど
今は私が家事全般をやっていた。
靖英も少しなら出来るけど…。
すると
『…家の事なら靖英本人が
“頑張る”と言ってるらしいけど
時々掃除とかに来て欲しいと
靖雄さんが言ってたから
講義ない日は是非行ってあげたらいいし
たまに泊まりに帰ってあげてもいい。』
私の考えを見透かしたように
彼が口を開いた。
「……いいんですか?」
私の問いかけに彼は頷き
『…それに俺は
同棲したからと言って
特別何かして貰おうとか思っていない。
…メシは俺が作るし
他の家事全般も出来るから
萌絵ちゃんは俺が仕事行ってて
出来ない時だけ手伝ってくれれば
後は普通に学生生活を
送ってくれたらいい。』
まるでお客様を扱うような
至れり尽くせりのような言葉を
彼はサラリと言った。