あなたが作るおいしいごはん【完】
女の子なら誰でも喜ぶような
天使の羽根をモチーフに
可愛いデザインと彫刻が施されていて
「…可愛い。」
素直な言葉が溢れると
『…やっと笑ってくれたね。』
スーツ姿の彼は
隣で柔らかい表情を浮かべて
私に見下ろすように微笑むと
『…はい。これもあげるよ。』
そう言って
あの時と同じ某キャラクターの
ラッピング袋を差し出した。
「…ありがとう…何だろう…。」
私はリボンを解いた。
『…萌絵ちゃんが多分気分的に
あまり食べられないんじゃないかと
思って…今朝作ってきたんだ。』
「……コレって。」
『…萌絵ちゃんと靖英が
小さい頃ウチで《どら焼き》以外に
コレも良く“美味しい”って
食べてくれてたから
これだったら萌絵ちゃんも
食べられるかなって思って
一緒に入れておいたよ…。』
ラッピング袋の中には
あの時のお見合いでも頂いた
私の大好きな《どら焼き》と
小さい頃に彼のお家で
《どら焼き》同様
ご馳走になって以来大好きになった
《海老カツと
ゆで卵サラダのサンドイッチ》が
ラップに綺麗に包まれて入っていた。