あなたが作るおいしいごはん【完】

『…萌絵ちゃん、食べてみて。』

彼に促された私は

「…うん……いただきます。」

丁寧に包まれたラップを

ゆっくり剥がしていった。


…懐かしいな。

“パクッ”と一口かぶりついて

ゆっくりゆっくり噛みしめた。


「…う〜ん…おいしい。」

刻まれた海老がプリプリで

一緒に混ぜているグリンピースの

色合いも綺麗。

マヨネーズで和えてある

卵サラダとの相性も抜群。


昔、カズ兄ちゃんのお家で

初めてこのサンドイッチを食べた時

《海老カツ》と初めて聞く言葉と

《海老フライ》とは全く違う

形と味と食感に

子どもながらに最初は驚いたけど


「…カズ兄ちゃん、コレおいしいね。」

こんなにおいしいものが

あったんだって初めて知って

以来、私は大好きになった。


彼のお家に遊びに行ってから

好きになったご飯は数えきれない。

時々自宅に

煮物等を差し入れてくれた時もあった。

私が小さい頃から彼は料理の天才で

色んな料理を作って

私や靖英に食べさせてくれて

この世の中にはたくさんの

おいしいご飯が存在しているんだと

教えてくれた。




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