あなたが作るおいしいごはん【完】

「…わ、私を…探究!?」

突然の彼の言葉に驚いた私は

《どら焼き》を持ったまま硬直した。

そんな私を見て

『…あっ、その…別に俺は決して
変な意味で言ったんじゃないからね。
だから、そんな硬くならないで。』

彼は一瞬だけ慌てた様子だったものの

『…萌絵ちゃん。
俺はメシを作る事以外は
あまり気の利いた事は
出来ないかもしれないけど
一緒に暮らしていく事で
俺は俺のやり方で
萌絵ちゃんの好物や生活の様子や
性格を知っていきたいと思うし
ストレスを軽減出来るように
萌絵ちゃんの気持ちを
出来る限りは汲み取って
今は気持ちよく学生生活を
送って貰える配慮はしたいと思うし
2年後には心から『好きだ』と
言える関係になれるように
努力して頑張ってみたいと思う。』

「……。」

『…だから、萌絵ちゃんも
萌絵ちゃんのやり方でいいから
俺の事を少しずつ知って貰って
心から『好きだ』と言える関係に
なれるように努力して、歩み寄って
頑張ってみては貰えないかな?』


すぐに真剣な眼差しで彼は

硬直したままの私にそう訴えかけた。







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