あなたが作るおいしいごはん【完】
「…ああ、ありがとう。
今日は珍しくはかどって
予定より早く進んだよ。」
そう言って私の頭を撫でながら
「…萌絵、また番組見てたのか?」
彼はテーブルに置かれた
【メンズキッチンTV】の
番組テキストに視線を向けた。
「…うん、見てたの。
カズさん素敵だったよ。」
素直な感想を述べた私に
彼は「ありがとう。」と言いながらも
照れ臭そうな表情を浮かべた。
そして
「…相変わらず好きだな。
あんなの見なくても
俺がいつも教えてあげるのに…。」
そう言って苦笑いした彼は
バッグから何かを取り出した。
「…はい。これ、再来月号のだよ。
それにこれは来月号の雑誌。
付箋ついてるところが
いつものレシピコーナーだよ。」
差し出されたそれは来月下旬発売の
【メンズキッチンTV】の番組テキストと
今月下旬発売の
20〜30代男性をターゲットに
発行されているメンズ月刊雑誌だった。