純愛関係図―It is not love―







「…眞田くん…?」



 あたしは沈黙に耐えられず、眞田くんに声をかけた。




「……ん?」


 いつもと変わらない声。



 …無理しているとわかってしまった。



 いつも通りになれるはずがない。

 苦しくて辛くないはずがない。

 傷つかないわけがない。




 心にポッカリと穴が空いてしまうに決まってる。


 泣きたいに決まってる。




 今すぐ、茜を矢崎くんから奪いたいに決まってる。







「ごめん」



「なんで七倉が謝るのさ」




 変な七倉、と乾いた笑みをこぼした眞田くん。





 違う。…違うの。


 あたしがあの日あんなことを言わなければ、きっと眞田くんは茜と結ばれていた。




 あたしがあの日「眞田くんが好き」と茜に言わなければ、全てうまくいっていたのに。

 矢崎くんとあたしは失恋しても、二人は幸せになれたのに。







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