純愛関係図―It is not love―




 今になって後悔しても、意味なんてなにもない。


 けど、――どうしてあたしは好きな人の幸せを願えなかったんだろう。




 どうしてあたしは、自分自身の幸せばかり考えていたんだろう。






 こんなにも脆く弱そうな眞田くんが幸せになってくれれば、それだけでいい。


 たとえ失恋しても、茜と笑顔で過ごしてくれればいい。



 そんな簡単な答えに、どうして今までたどり着けなかったんだろう。






 今更、言えないよ。


 …だってもう、嫌われたくないって思っちゃってるもん。



 最低なあたしだけど、…好きになっちゃったんだ。好きな人には、嫌われたくない。







「やっぱさ…好きな奴が彼氏とキスしてるシーンは、見たくなかったわ。正直、きつい…」





 眞田くんは俯いてるから、前髪が表情を隠していて見えない。


 きっと泣くのをこらえてる表情をしてる。



 だって声が、涙声だから。





 罪悪感で胸がいっぱいになった。





< 106 / 298 >

この作品をシェア

pagetop