純愛関係図―It is not love―







「結月と遥陽……見てたんだって。私と矢崎がキスしてるとこ」






 小さな声で、矢崎の目を見ずに言った。


 ゴニョゴニョとした言い方で、聞きづらかったかもしれないけど…。




「…え、ちょ、…ゴホッゴホッ!」


「だ、大丈夫!?」





 恥ずかしさで矢崎がむせ、私は矢崎の背中をさすった。


 まじかよ…と呟く矢崎の顔は、耳まで真っ赤。





「やっぱり恥ずかしいよね…。
 私もびっくりしたんだ。見たって結月に言われたとき」



「うわー。まさか見られてたとは……」




 いつの間にかアイスを食べ終えていた矢崎は、カップを隣に置き、前髪をかきあげた。






「でも」






 下にあった目線を前に向けた矢崎の瞳の中には、揺らぐことのない真っ直ぐな光があった。





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