純愛関係図―It is not love―




「そういえばさー」



「なに?」




 結月が返信の文を打つ手を止め、私の方を向いた。





「茜が矢崎くんにメールする姿、あんまり見たことないな。メールしてるの?」




 ……まただ。


 Wデート後から、よく私と矢崎の恋人関係を間接的に疑ってくる。




 思えばアイスを買いに行ったあの時の質問からだ。



 ――『ずるいよね、茜は』




 鋭いトゲを持ち、疑っていることを口調で表すその言い方。


 そして聞くときの、結月の“真っ黒”な瞳。



 その瞳には、なにかどす黒いオーラを感じる。





 けどこの質問をする時以外は普通だから、最初は機嫌が悪いのかな…なんて思ってたけど。


 さすがに気づく。……結月の異変に。


 理由はわからないけれど、結月は変わった。観覧車から降りたそのときから。私への態度が、時々変わる。





「そういえばあんまりしてないなぁ。だってメールより直接話したほうが楽しいじゃん?」





 私は嘘は言わず、あえて明るい口調で言う。何も気づいていませんよ、そう言うかのように。





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