純愛関係図―It is not love―





「もうすぐ…夏休みじゃん?」



「ああ」




「だからその……」




 もう早く言えってば!


 心の中の自分はそう言ってるのに、声が出ない。



 緊張しすぎて、息がつまりそう。






「どっか行くか?二人で」






 え…?


 言おうと思っていたことを、矢崎があっさり言った。




「う、うん!!行きたいっ」


「てか、それを言いたかったんだろ?わかりやすすぎ」




 あたし、どんな顔してた?


 ……あたしがどんな表情でも、矢崎はわかっちゃうんだね。




 こんな些細なことからでも、“好き”が伝わってくる。





「じゃあ二人でデート、しような」


「うん…」



 二人きりのデートか…。なんかいい響き。

 顔が熱くなるのと同時に、くすぐったい嬉しさが胸に広がった。





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