純愛関係図―It is not love―
私と親友と好きな人。
オレンジ色に、教室が染まる。
窓から差し込む夕日の光が、ちょっと眩しい。
私たち二人しかいないこの教室で、放課後少しの間だけ話すのが日課になるつつある高校二年生になってまだ一ヶ月しか経っていない、5月上旬の今日。
「――あのね、実は…好きな人ができたんだ…」
高校生になってできた友達の中で一番仲がいい…いわゆる親友の七倉 結月【ナナクラ ユヅキ】が、頬を赤く染めて恥ずかしがりながら言った。
え…す、好きな人!?
「だ、誰…?」
私・新川 茜【ニイカワ アカネ】は、動揺をあまり顔に出さずに…でも気になりながら結月に聞いた。
結月は、栗色のふんわりとしたボブにややたれ目のクリクリした瞳。そしてナチュラルなメイク。
ほんわか癒し系で、ホントに可愛い。
男子もこんな可愛い結月を放っておくはずがなく、一週間に一回は告られている…と思う。
そんな結月に、好きな人ができたなんて…!
親友として、知っておかないといけない気がする!
「……秘密にしてね?」
口元に人差し指を持ってきて上目遣いで言った結月。
「もちろん。誰にも言わない」
「えっとね……、茜の…幼馴染なんだけど……」
え…?私の、幼馴染…?