純愛関係図―It is not love―
「ん」
「……ありがと」
遥陽から渡されたわたあめを、一口食べる。
ねぇ矢崎……。
私はね、矢崎が好きなんだよ――。
「どうかしたの?茜」
「えっ、いや…なんでもないよ」
結月が私の顔を覗き込みながら心配そうに聞いてきた。
心配かけちゃだめだめ。
この夏祭りで矢崎に言うんだ。
好きだって。
私の本当の気持ちを伝えるんだ……!
「金魚すくい行こうぜ?」
矢崎がすぐ近くにある屋台を見て言った。
矢崎の声を聞くたび、心臓がトクン…って甘く響く。
気づいてよ…矢崎。矢崎、私のことよく見てるんでしょ?
伝える前に気づいてよ。
私が好きなのは矢崎。あんただよ。
胸が甘く溶けたりギュって締め付けられたり。
忙しい鼓動に、私は“いつも通りの私”になれなかった。