純愛関係図―It is not love―




「――あ~~、破けちゃった」



 金魚すくいをしている結月が、破けたポイを見てガッカリと肩を落とした。


 私は結月の隣に座って、




「私も一回やろうかな」




 結月に言うようにつぶやき、屋台のおじちゃんにお金を渡してポイと小さなお椀を受け取った。



「よーし、いっぱい取るぞぉ!」




 腕まくりをして、やる気まんまん。


 結月を横目で見て、ニッと口角をあげた私。





「二匹以上とったら、二人で分けようね」


「茜…ありがとう!」





 残念がっていた結月は、パアァ…!と明るくなり微笑んだ。


 金魚すくい……得意ってわけじゃないし、苦手ってわけじゃない。



 私も結月みたいに破れなきゃいいんだけど……。




 私はジッと水槽内の金魚を見つめ、獲物を定める。


 よし、あいつにしよう。水槽の端にいた一匹の金魚に決め、私はポイを金魚の下に滑り込ませ、すくった。




 取れた!


 ………と思ったら。





 ボチャッ






「え」




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