純愛関係図―It is not love―





 怖いくらい真剣な二人の表情。


 二人が見つめる…いや、睨んでいるのは水槽内の金魚たち。



 そんなに金魚欲しいのかな…??




「うりゃっ」


「おりゃあ」




 気合いの入った声を出し、二人同時に水槽内に手を伸ばした。


 私と結月は、ゴクリと喉を鳴らし身守る。






 いつか。


 いつか大人になって、思い返したら……いつのことを思い出すかな。



 初めて自分から告白してきたときかな。


 それとも、四人でWデートしたときかな。


 それとも、結月と親友になったときかな。





 それとも……―――







 二人が持つポイで小さく跳ね上がる金魚の様子が見えた。


 二人とも金魚すくいに成功したのだ。





 遥陽と矢崎の子供のような無邪気な笑顔を見て、私は小さく微笑んだ。






 それとも。

 ……今の、生き生きとした遥陽と矢崎の表情を見て、すごいすごいと喜んでる結月の―――複雑な関係を感じさせない、キラキラした瞬間なのかな。








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