純愛関係図―It is not love―





 通り過ぎる大勢の人。


 賑わう屋台。


 耳に残る騒がしい祭りの音。





 その全てが見えなくなって聞こえなくなるくらい、


 手を握りながら矢崎の隣で歩くのは緊張して、ガチガチ。




 好き。


 その想いが溢れて、どうにかなっちゃいそう。






「や、矢崎…」



「ん?」






 どんなに小さな声でも、矢崎は聞き漏らすことなく返事をする。


 私の瞳にはもう……矢崎しか映ってない。





「私ね………」




 矢崎のことが、好きだよ。







「茜!」







 矢崎に本当の想いを伝えようとしたその時、後ろから遥陽の大きな声が聞こえてきた。


 また言えなかった……。




 人をかき分けながら走ってきた遥陽は、今まで見たことがないくらい熱い表情をしていた。






< 214 / 298 >

この作品をシェア

pagetop