純愛関係図―It is not love―
通り過ぎる大勢の人。
賑わう屋台。
耳に残る騒がしい祭りの音。
その全てが見えなくなって聞こえなくなるくらい、
手を握りながら矢崎の隣で歩くのは緊張して、ガチガチ。
好き。
その想いが溢れて、どうにかなっちゃいそう。
「や、矢崎…」
「ん?」
どんなに小さな声でも、矢崎は聞き漏らすことなく返事をする。
私の瞳にはもう……矢崎しか映ってない。
「私ね………」
矢崎のことが、好きだよ。
「茜!」
矢崎に本当の想いを伝えようとしたその時、後ろから遥陽の大きな声が聞こえてきた。
また言えなかった……。
人をかき分けながら走ってきた遥陽は、今まで見たことがないくらい熱い表情をしていた。