純愛関係図―It is not love―






「……嫌だ」



「え?」




「嫌だ」





 小さく、だけどはっきりと聞こえた遥陽の声が、ずしりと重く感じる。


 掴まれた腕から、熱さを感じる。





「お前といたい」



「さ、最初から私といるじゃん。結月と矢崎と遥陽と私、四人でいたでしょ?」



「そうじゃなくて」





 ギュッと力を強めた、私の腕を掴む遥陽の手。


 その手からは、少しの優しさと大きな想いと強引さが溢れていた。







「四人じゃなく…二人だけがいいんだ」






 知らない遥陽が、目の前にいる。


 どこかで感じていた予感が、花火が打ち上げられるとともに弾けた。







< 217 / 298 >

この作品をシェア

pagetop