純愛関係図―It is not love―





「茜、好きだよ」




「わっ、わた……」





 だめだ。


 声が……出ない。



 涙がさっきから流れてるせいで、うまく声にならない。




 私は矢崎が好きなの。


 遥陽とは、付き合えない。




 そう言うだけなのに。


 言葉にすることがこんなにも難しいなんて、思ってもみなかった。





「じゃ、俺と七倉は先帰るから。お前たちは二人きりで祭り楽しみな」



「じゃあね、眞田くん。茜」





 やだ。行っちゃやだ。…行かないで。



 今日、伝えるつもりだったのに。




 矢崎に好きを、届けるはずだったのに。




 どうしてこんなことになっちゃったの?





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