純愛関係図―It is not love―





 帰り道、ずっと我慢していた涙がとうとう流れた。


 七倉と途中で別れてから、ひとりで歩いていた帰り道。



 遠ざかっていく祭りの音が、まだ耳に残っている。




 夜空を見上げながら、空いっぱいに散らばっている星を眺めていた。



 頬が涙で濡れる中、俺は必死に消そうとした。





 新川のことが好きという、淡い恋情を。



 けど、無理だった。





 忘れることなんて、無理だった。





 それほど新川のことが好きで、失恋してもなお溢れる想いを止められなかったんだ。



 涙が次々と流れ落ちる。


 ダセぇな俺。




 涙を止める術がわからない。





 本当は感じてたんだ。

 こうなる予感を、…ずっと。



 その予感が、まさかこんなにも辛いものだったなんて…。





 人を好きになる辛さが、胸に刻み込まれた。






< 231 / 298 >

この作品をシェア

pagetop