純愛関係図―It is not love―




 朝から二人仲良く登校してきたら。


 そう考えるだけで、胸が締め付けられる。




 夏休み明け最初の登校日の今日、俺はいつもより早く家を出て学校に向かった。


 いつも通りの時間に出れば、学校に着くと絶対もう新川と遥陽がいる。



 二人が一緒にいるところをできるだけ見たくない。避けたい。



 俺が学校に着くと、教室にはまだ誰ひとりとして来ていなかった。


 …早すぎたか。




 俺はカバンを置いて、いつも開いている屋上へ向かった。



 教室にいたくない。


 あいつらの顔を、見たくない。




『幸せになれよ』


 確かに夏祭りの日、新川にそう言った。



 だけど、嘘なんだ。

 幸せにはなってほしい。けど、俺がしてやりたかった。




 遥陽じゃなく、俺自身が、

 新川を幸せにしてやりたかった。笑顔にしてやりたかった。




 嘘で固めた言葉と笑顔の裏に、俺は涙と苦しみを隠していた。



 どうして遥陽なんだよ……。俺じゃダメなのかよ。





 未練がましいな、俺。情けない。

 そう思うけど、ポッカリ空いた心の穴はそう簡単には埋まらない。






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