純愛関係図―It is not love―




 屋上に行くと、まだ暑い日差しの中涼しい風が吹いていて心地よかった。



 屋上から外を見ると、生徒がぞろぞろ校門をくぐっている。


 その中に、あいつらはいた。




 遥陽と、新川。


 二人は一緒に登校しているわけではなく、少し離れた距離にいた。



 そのことに少しだけホッとする。




 二人は付き合ってる。その事実は変わらないが、二人一緒のシーンを見なくてよかったと長く息を吐く。




 新川のやや後ろに七倉の姿も見つけた。





 ……七倉は辛くないのだろうか。会いたくないと思わないのだろうか。


 俺よりも凛とした姿で登校してきた七倉を見て、疑問を抱く。



 ――七倉だけが、全部知っていた。


 遥陽の想いも新川の想いと企みも…自分の気持ちにも。




 だから俺より辛くねぇのかな?


 俺がもし全部知ってたら、なおさら辛いと思うけど。





 七倉は、俺より強いんだな。


 いいな、俺も強くなりたい。






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