純愛関係図―It is not love―





 ――俺が新川を好きになったのは、高校一年生の夏のある日の出来事がきっかけだった。



 新川とは同じクラスだったけど、あまり話したことがなかった。


 席も近くなったことはないし、話そうとも思わなかった。



 ただのクラスメイト。

 あの日までは、そうだった。





「――いってぇ!」




 夏のある日の放課後。

 サッカー部に所属している俺は、グラウンドで練習をしていた。



 しかし、途中ボールを奪おうとした勢いで転んでしまった。





「大丈夫か!?」


 親友の遥陽が膝を抱える俺に声をかけてきた。



「大丈夫だけど、血がやべぇ」


「保健室行ってこいよ」


「そーするわ」




 どんだけ勢いがよかったんだとツッコミたくなるほど、ダラダラと膝の傷口から溢れる血。


 痛ぇ…。ヒリヒリする。



 若干、足を引きずるような形で俺は保健室へ行った。





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