純愛関係図―It is not love―
「失礼しまーす」
ガラッと扉を開けながらそう言って入る俺。
「はーい」
中から聞こえたのは、保健室の先生の声じゃなかった。
「……あれ?矢崎?」
中にいたのは、窓から入る涼しい風に髪をなびかせた、椅子に座っている新川だった。
…初めて、新川と話した日だった。
「うわ、すごい血。大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。…つーか、先生は?」
「あー、保健室の先生は出張。だから代わりに私ってわけ」
そういえば新川は保健委員だったな、と思い出し「なるほど」と頷いた。
俺は新川の前にある椅子に座った。
「痛そう…」
眉を下げそう呟きながら、手当てを始めた新川。
…新川って、確か遥陽の幼馴染なんだよな。
なんてことを思い出した俺は、真剣な表情で手当てしてくれてる新川をなんとなくジッと見つめていた。