純愛関係図―It is not love―




 思い出そうとした私は、覚えてないことがわかり、「覚えてない」と答えた。



 ていうか、それいつの話?

 何度も遥陽、犬吠えて泣いてたからわかんないよ。





「やっぱ覚えてねぇか」



「私、なんて言ったの?」





 遥陽はオレンジの空を眺めながら、懐かしそうに微笑んだ。


 そして少しの間をおいて、口を開いた。






「『泣いてると幸せが逃げちゃうから、笑って』」






 遥陽は立ち止まり、私を見つめながら言った。



「そう言ったんだ」



 私、そんなこと言ったんだ……。


 でも、なんで今思い出話なんだろう。



 話を逸らすにしても、学校のこととか…もっと他にも話題があったと思うんだけど。






「だからその言葉、今お前にそっくりそのまま返すよ」







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