純愛関係図―It is not love―
最後のわがままは、俺がしたかったことだった。
もし茜と恋人関係になれたら、まずはこれをするんだ。
心の中で隠し持っていた願い。
茜の手は、小さくて柔らかくて温かくて。
守ってあげなきゃと思うほど弱々しい、けれど小さい頃とは違う手のひら。
抱きしめたい、とか。
キスしたい、とか。
そんなことも思ったけど、我慢した。
茜は矢崎と幸せに、そして俺は茜じゃない別な子と幸せに。
そうなる結末が、この先の未来にはあるから。
今、抱きしめてキスしたら、茜が泣いちまうだろ?
そんなの絶対嫌だ。
泣かせたくない。
それは俺のちっぽけなプライド。
好きな子を泣かせたくないって思うのは、普通だろ?