純愛関係図―It is not love―




 開けている窓からは、心地よい風が入ってくる。


 その風にのって、一枚、桜の花びらが舞い散って、部屋へと入ってきた。




 ひらひらと揺れながら、たどり着いたのはアルバムの上。






「……もう春かぁ」


 大学を卒業したら、私は有名なデザイン会社に勤めることになる。



 そう思うと、やっぱり高校時代は若くてキラキラしてて、何もかもが懐かしい。

 しんみりとした気持ちになりながら、舞い込んできた花びらを眺める。





 プルルル…


 すると電話が鳴った。




 誰からだろう。


 スマホの画面を見ると、相手は結月だった。






「もしもし?」


『あ、もしもし?今さ駅前のさ、ほら前行ったカフェにいるんだけど、茜も来ない?』




 結月は同じ大学に進み、卒業したらパリに行って有名なパティスリーで修行してくるんだそうだ。




「行くいくー♡あそこのフレンチトースト美味しいんだよねぇ。どうしよう、食べたくなってきた」







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