純愛関係図―It is not love―





 心だけは、正直…だね。


 そして私自身は、臆病で弱虫で…嘘つきだ。






「あ、新川ー!七倉ー!」




 私と結月は、遥陽と矢崎がいる反対のところにいるのに…

 矢崎は、私たちに気づき、明るい笑顔を向けながら大きく大きく手を振った。




「矢崎、よく気づいたなぁ…」



「だって茜がいるもん」



「え?」



「だーかーらー、茜…彼女がいるから気づくんでしょ?」




 私がいるから…?


 私がいるから、気づくの?



 試合なのに?こんな…張り詰めた空気の中、私に?




 こんな大勢の観客の中の、たったひとり…私だけを?






 そんな、…そんな嬉しいこと――。





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