純愛関係図―It is not love―



 矢崎の声で、緩もうとしていた涙腺が…元に戻った。





「うっせぇなぁ、俺は眠いんだよ…」


 大きな欠伸をしながら、矢崎は机にカバンを置いて言う。



 あ…、寝癖。ピョンって跳ねてる。


 矢崎の髪に寝癖があることを発見した私は、




「可愛いっ」




 と口に出してしまった。



「何が可愛いの?」


 首を傾げながら、結月が私に聞く。



「え、私…言っちゃってた?」


 目を丸くして聞くと、結月はうんと頷く。




「可愛いっていうのは……矢崎の寝癖が…」


「寝癖? あ、ホントだ!可愛いねっ」



 口元を抑えて「ふふっ」と笑いながら、結月が言う。



「寝癖は気にすんな。てか、笑うなー」


「仕方ないじゃん。寝癖ついてるお前が悪い」



 遥陽も笑いながら、矢崎の髪の寝癖に触れてさらに髪を跳ねさせた。



 矢崎は「あー、何してんだよ!」と寝癖のところを手ぐしでなんとかしようと頑張っていた。




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