純愛関係図―It is not love―





「鈍そうなのに、意外」



「鈍くないよ」





 よく鈍感そうって言われるけど、あたしわかってるんだよ。空気とか雰囲気とか、読めるんだよ。


 人一倍、敏感なの。






「小さい頃からずっと一緒でさ、いつの間にか好きになってたんだ。幼馴染って関係が壊れたら怖いとか思いながらも、ずっと想ってきた。
 けど、…まさかあいつに彼氏ができるなんて考えもしなかったよ。しかも相手が要だぜ?最初、冗談かと思ったよ」






 あたしにはわからない幼馴染という関係が、お互いを縛り付けていた。


 どこかで羨ましいって思ってた幼馴染が、まさか恋愛の鎖になってたなんて。




 茜も眞田くんも、ずっと苦しい恋愛をしてきたんだね。






「はぁ、なんで彼氏があいつなんだよ。要じゃなかったら奪い返すのに。
 親友から奪うことなんてできねぇよ……」





 泣きそうな声で自分の思いを言う眞田くんを、抱きしめたくなった。



 どうしてあたしたちはこんなにも、関係を複雑に絡めてしまったんだろう。




 元はといえばあたしのせいだけど、

 それ以前に、みんな勇気がなかったんだ…。







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