愛すと殺すと

「…ある」



昔、千晶が外人の客を――



「そっか」


はあ、とため息をついた。


「どーしたものかね」


やがて騒ぎ終わったのか、律儀に布団に戻る千晶。


まるで動画を見てるように、決まった動きを繰り返す。


「美澤は…?」


「あぁ、今来るよ。

アイツ、千晶に飲み物買ってきてんだ」


そうか、と軽く返して千晶を見る。


眠りもせず、ただ目をあけて横たわっていた。



人形みたいだ、とちょっと思う。



と。


ガララと横開きのドアが開き、私服姿の美澤が入ってきた。

ペットボトルを抱えていて、俺を見るなり呆然とした。


で。


走っていきなり体当たりしてきたのだ。


反動で後ろに行く体おかまないなしで、俺をぎゅうっと抱き締める。



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