愛すと殺すと
「…おかしくない?」


ピクンと先生がわかりやすく反応する。



「なんで呼ばないの?

なんで保健室なの?


なんで救急車呼ばないの?」



おかしいよ。



「…布留」



悲しそうに先生は目を伏せた。


どう見ても肯定にしか見えない。


「先生、俺さ「布留くん」


遮ったのは、美澤だった。



「あのね、布留くん。

先生なんか見てないで、私を見てて」



みつあみの二つ結びをとり、癖のついたくるくるの髪を露にする。


「…好きなの」


胸板にしなやかな指を押し付けて、千晶よりほんの少し大きい背で。




「私は、布留くんが好き」




恥ずかしがる素振りも見せず。



背伸びして、俺の目線に合わせて。




ちゅ、と。




唇と唇が触れあった。



< 115 / 245 >

この作品をシェア

pagetop