愛すと殺すと
「菅原千晶なんてどこがいいのか」
はあ、なんて溜め息をついた。
「好きなの?」
「…みたい」
「あやふやだなぁ、もう」
思ったよりこの子は芯が強いみたいだ。
平然と聞いている彼女の神経を疑いそうになった。
「いつ気づいたの?」
「さっき」
「その手前に告白してたらなあ…
ううん、ダメだね。
きっとそれが合図で気づかれちゃってたから」
頭をポリポリ掻いて、手櫛で髪を梳きはじめる。
「千晶のために存在してるんだよ、俺は。
いつの時代も、“千晶”だから守らなきゃならないんだ」
確か、石橋の話では。
『女の子だから守らねば』
そうではなかったか。
「(…そーゆーことか)」
事実なのだろう、それは。
女の子だから守らねば、なら、なぜ目の前で泣いてる美澤を救わなかった。
答えは明白、千晶じゃないから。
昔からコイツは、千晶だけを想ってたのかもしれない。